シンガポールから車で1時間ほど。ジョホール州の、王家の土地に守られた森のなかに、その建物はありました。
三階建てで、窓はほとんどありません。外から見ると、何のための建物なのか分かりません。中には、燕のための部屋が50室あります。
ナピアさんは、11年間ここを守り続けている方です。
朝7時から、夕方5時まで
出勤は朝7時。退勤は夕方5時。50室を、3人で見ます。単純に割れば、ひとり17室ほどです。
ただ、一日で全部を回るわけではありません。一室に入るのは10分だけ。そして5分で出ます。
FACT
一室あたりの滞在は10分。人が入ることが、燕にとっては負荷になる。
出典:ナピア氏への取材。2026年3月、マレーシア・ジョホール州。
「長くいると、燕が落ち着かなくなる」と言います。掃除をし、巣の状態を見て、天敵が入っていないかを確かめる。それだけで出てくる。
毎朝いちばんに見ること
部屋に入って最初に見るのは、天井の木桟だといいます。そこに巣がある。数が減っていないか、傷んでいないか、そしてヒナがちゃんと育っているか。
天敵は3種類。燕が嫌がるものは、すべて取り除く。
「ハーモニー」という言葉
話を聞いていて、何度か出てきた言葉があります。ハーモニー、調和。
燕は、飼われているわけではありません。気に入らなければ、いつでも出ていきます。だから管理といっても、実際にやっているのは「出ていかない理由を保ち続けること」に近い。
建物のまわりにはマンゴーやジャックフルーツの木が植えられています。虫が集まり、燕の食事になるからです。
雛が2羽、3か月
繁殖のサイクルはだいたい決まっています。卵はふつう2つ。孵化して、3か月ほどで巣立っていく。空になった巣を、そのあとで採ります。
採ったばかりの巣は5グラムほど。洗って羽根や汚れを取り除くと、2グラムほどになります。
ボスのこと
エリック・シャック氏のことを、ナピアさんは「ボス」と呼びます。11年という時間の重みが、その一語に入っている気がしました。
WHAT WE DON’T KNOW YET
まだ分かっていないこと
- 「50室を3人で」「一室10分」は、取材当日にうかがった運用です。季節や時期によって変わる可能性があります。
- アナツバメの繁殖サイクルには地域差があり、ここに書いた数字がすべての産地に当てはまるわけではありません。
この記事について
ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。同社は燕の巣を扱う事業者であり、中立な第三者ではありません。記事内で紹介した機関とも関係があります。他社商品との比較や優劣の判定は行いません。研究の説明は、原著論文に書かれている範囲を超えないようにしています。記事のなかで商品を販売することはありません。研究の説明は、原著論文に書かれている範囲を超えないようにしています。
SOURCES
- ナピア氏(GLYKEN バードハウス維持管理責任者)への取材。2026年3月、マレーシア・ジョホール州。掲載許諾取得済。
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