【渡航記・前編】バードハウスへ行くはずが、飛行機が飛ばない。― マレーシア珍道中

燕の巣ナビゲーター|時 昴。9月のマレーシア取材記の前編です。関西空港で機材トラブル。振替は翌日の夕方。変えら…

執筆編集部

関西国際空港の国際線出発案内。2026年9月12日14時14分。最上段に11時05分発クアラルンプール行きが「ゲート変更」と表示されたまま残っている

燕の巣が生まれる場所を、この目で見に行く。そのはずが、まず飛行機が飛びませんでした。

夜明けの琵琶湖。オレンジ色の空と、湖面に伸びる朝日の反射
出発の朝、大津にて。2026年9月12日、編集部撮影。

9月12日。ツバメディアの取材で、マレーシアへ向かいました。行き先はジョホールバル。アナツバメが実際に暮らしている建物——バードハウスを訪ねるためです。

商品になった燕の巣なら、これまでいくらでも見てきました。けれど、その手前にある場所を、私はまだ十分に見ていません。どんな環境で、どんな鳥が、どうやって巣をつくるのか。そこを自分の目で見ておきたい。それが今回の目的でした。

……のはずが、まずマレーシアにたどり着けませんでした。

関西国際空港の出発ロビー。天井の時計は8時32分を指している
関西国際空港に到着。8時32分。この時点では、何の問題もないはずでした。2026年9月12日、編集部撮影。

2班に分かれて、ジョホールバルへ

今回は2班での移動でした。1班は羽田からシンガポールを経由してジョホールバルへ。以前から燕の巣に関心を持ってくださっている方々で、オンラインで情報を届けている方が中心です。「もっと知りたい」「自分で見たうえで伝えたい」。そういう動機で来てくださいました。

もう1班が、私たちです。関西国際空港からクアラルンプールを経由してジョホールバルへ。ツバメディア編集部もこちらでした。

予定していたのは、関西を11時05分に出る便。荷物を預けて、あとは乗るだけ。そのはずでした。

関西国際空港の国際線出発案内。2026年9月12日14時14分。最上段に11時05分発クアラルンプール行きが「ゲート変更」と表示されたまま残っている
14時14分の出発案内。定刻11時05分の便が、3時間以上過ぎてもまだ最上段に残っていました。2026年9月12日、編集部撮影。

11時05分、飛ばない

機材トラブルでした。

ただ、すぐに「本日は欠航です」と決まったわけではありません。待つ。まだ待つ。とりあえず待つ。時間だけが過ぎていきます。

13時ごろ、ミールクーポンが配られました。これは長くなるな、と思いました。それでもご飯を食べて、話をして、まだどこかで「そのうち飛ぶだろう」と思っていました。

はっきりしたのは15時過ぎです。この便では、今日は行けない。振替として示されたのは、翌日の17時でした。

翌日の夕方に日本を出る。それでは、現地で組んでいた取材の予定はほぼ成立しません。

変えられないものと、変えられるもの

ここで考えたのは、ひとつだけでした。いま、自分たちにできることは何か。

飛ばない飛行機を、私たちは飛ばせません。カウンターで声を荒げても、飛びません。変えられないものに時間を使っている余裕は、もうありませんでした。

すぐに別の経路を探しました。シンガポール経由はどうか。香港は。台北は。クアラルンプールまで行ければ、翌朝の国内線でジョホールバルに入れる。

見つかったのが、その日の夜に関西を出て、台北を経由してクアラルンプールへ向かう便でした。そこから翌朝、国内線でジョホールバルのスナイ空港へ。到着は予定より12時間ほど遅れますが、取材の初日には間に合う。

分かった瞬間に、切り替えました。あとから振り返って思うのは、あの15分か20分の差だったな、ということです。もう少し待ってみようか、と粘っていたら、その便にも乗れていなかったかもしれません。

現地では、私たちのために時間を空けてくださっている方がいます。日本からわざわざ来てくださった方もいます。判断が遅れるというのは、自分の時間だけでなく、その人たちの時間まで使ってしまうということでした。

「普通」は、国境を越えない

もうひとつ、考えさせられたことがあります。

私の感覚では、機材トラブルが起きたなら、その時点で「機材トラブルです」と伝えてほしい。復旧の見込みはどうか、飛ぶ可能性はどのくらいか、代わりの案は何か。日本で暮らしていると、そうした情報が比較的早く、細かく共有されることに慣れています。

でもそれは、私の「普通」であって、世界の「普通」ではありません。

これは、どこかの会社の良し悪しの話ではないと思っています。時間の感覚。約束の考え方。情報を出すタイミング。国が変われば、その背景にある前提が変わります。「なぜ日本と同じようにやってくれないのか」と考えるより、「相手にとっての普通は何だろう」と考えるほうが、たぶん前に進みます。

海外と仕事をするというのは、結局その積み重ねなのだと、あらためて思いました。そしてこれは、国の話だけでもありません。会社でも、家でも、自分の普通と相手の普通は違います。

そして、翌朝

台北を経由して、深夜にクアラルンプール。翌朝また飛行機に乗って、ジョホールバルへ。ほとんど寝ていません。

それでもスナイ空港に降りたときは、来られた、と思いました。

ここからが本番です。向かったのは、ツバメたちが暮らすバードハウス。扉を開けた先で見たものについては、後編に書きます。

DISCLOSURE

このコラムについて

ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。私はその代表取締役であり、リアン株式会社の代表も務めています。2026年9月1日より、株式会社キュアレの代表にも就任しました。中立な第三者ではありません。このコラムに登場するGLYKEN社は、当社の取引先です。

だからこそ、このコラムは「取材記事」としては書きません。一人称の見聞きとして書き、事実として確かめたことは編集部の記事に分けています。他社商品との比較や優劣の判定も行いません。

掲載にあたっては、ご本人から許諾をいただいています。

POPULAR

よく読まれている記事

  1. 燕の巣を知る燕の巣って、本当に鳥の巣? 意外と知らない7つのこと。
  2. 科学する燕の巣と、アレルギーのこと。
  3. 産地と自然バードハウスの燕の巣は「養殖」なのか。マレーシアで見た、アナツバメと人の関係。
  4. 燕の巣を知る燕の巣は、洗ってあるのですか。
  5. 燕の巣ナビゲーター|時 昴【渡航記・前編】バードハウスへ行くはずが、飛行機が飛ばない。― マレーシア珍道中