アナツバメは、何を食べているのでしょうか。
燕の巣はアナツバメの分泌液でできています。では、その分泌液をつくる体は、何からできているのか。
この問いに答えた記録が、46年前にありました。
答えは、飛んでいる虫です。
1980年、マレー半島ペナンのアナツバメのコロニーを7か月にわたって観察した研究があります。
研究者は、かすみ網で捕らえた成鳥が吐き出した餌玉(フードボール)を分析しました。親鳥が雛に運ぶために、捕った虫を口の中でまとめたものです。

FROM THE LITERATURE
餌玉に入っていたもの
餌玉ひとつの重さは 0.13〜1.08グラム。
そのなかに、平均で 500個体を超える餌が入っていました。
- ハチ目(ハチ・アリのなかま)… 40.8%
- カゲロウ目 … 26.4%
- ヨコバイ亜目(セミ・ウンカのなかま)… 15.4%
- ハエ目 … 7.7%
重さでいちばん多かったのは羽アリとカゲロウ。個体数でいちばん多かったのはイチジクコバチとカゲロウでした。
1グラムに満たない塊に、500匹以上。
餌玉ひとつが、重くても1グラムほどです。そこに500個体以上が入っている。それだけ小さな虫を、飛びながら、口を開けて捕っているということになります。
アナツバメは、地面に降りて餌を探しません。ほとんどの時間を空中で過ごします。明け方に飛び出して、夕方に戻る。そのあいだずっと、飛んでいる虫を捕り続けています。
だから、周りの環境が要ります。
ここが、燕の巣という食べものを考えるうえで大事なところです。
人間がアナツバメに餌を与えることはできません。与えても食べません。飛んでいる虫しか食べないからです。
つまり、鳥が住みつくかどうかは、その建物の周りに虫が十分にいるかどうかで決まります。

私たちが取材したマレーシア・ジョホール州の施設は、森と海と農園に囲まれた場所にありました。周囲に何もない、と言ってもいいような立地です。
見た目には不便な場所です。でも、飛んでいる虫の量から考えると、理屈が通ります。
「養殖」という言葉が合わない理由。
バードハウスという言葉から、鳥を閉じ込めて飼っている施設を想像される方がいます。
餌の話を知ると、それが成り立たないことが分かります。
- ツバメを閉じ込めたら、餌が取れません。飛んでいる虫を捕るからです
- 人間が餌を与えることもできません。500個体の小さな飛翔昆虫を、毎日用意することは現実的ではありません
- だからツバメは毎朝出ていき、夕方に戻ってきます。出入りは自由です
このことは編集部の記事「バードハウスの燕の巣は「養殖」なのか。」で詳しく扱っています。
WHAT WE DON’T KNOW YET
まだ分かっていないこと
この数値は、1980年にペナンの1つのコロニーを7か月観察した記録です。他の地域・他の季節で同じ内訳になるとは限りません。
編集部が確認できているのは、著者自身が書いた要旨までです。論文の本文は入手できていません。分析方法の詳細は未確認です。
現代のバードハウスの周辺で、実際にどんな虫が飛んでいるかを調べたデータを、編集部はまだ持っていません。次回の現地取材で確認したい項目のひとつです。
SOURCES
- Langham N.「Breeding biology of the edible-nest swiftlet Aerodramus fuciphagus」Ibis, 122(4), 1980, pp.447–461. DOI: 10.1111/j.1474-919x.1980.tb00900.x(餌玉の分析。編集部が抄録を確認。本文は未入手)
- マレーシア・ジョホール州デサルでのツバメディア現地取材(2026年)
DISCLOSURE
この記事について
ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。同社は燕の巣を扱う事業者であり、中立な第三者ではありません。
だからこそ、自社や業界に都合のいい説明であっても、根拠を確かめられないものは、確かめられないものとして扱います。
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