燕の巣を、水に戻す。― そのとき、何が起きているのか。

乾いた燕の巣を水に戻すと、絡み合っていた繊維がゆるみます。同時に、水のほうへ出ていくものがあります。可溶性固形…

執筆編集部

水を張った浅い器の中で、絡み合っていた繊維が半分だけほどけて広がっているイラスト

乾いた燕の巣は、水に戻してから使います。

数時間から一晩。ほぐして、湯せんにかける。手順としては、それだけです。

ただ、そのあいだに何が起きているのかは、あまり書かれていません。この記事はそこを書きます。

戻すと、繊維がほどけます。

乾いた状態の巣は、分泌液が固まって、繊維が横に絡み合った浅い器の形をしています。水を含むと、その絡みがゆるみます。

外側から順にほどけていって、一本ずつの糸に分かれていく。最初にあった器の形は、途中まで残っています。

何が絡んでいるのかについては、燕の巣は、何でできているのですか。に書きました。

同時に、水のほうへ出ていくものがあります。

ここは測られています。

FACT

タイ南部の巣を調べた2022年の研究で、可溶性固形分(水に溶ける成分の量)は、家(バードハウス)産が100グラムあたり15.57グラム、洞窟産が13.85グラムだった。水を切ったあとの重量は、家産が100グラムあたり27.98グラム、洞窟産が30.78グラムだった。

出典:Chantakun K, Nilsuwan K, Sripradit A, Benjakul S. International Journal of Food Science and Technology. 2022;57(4):2447-2458.

水に溶けて出ていく分がある。そして、その量は産地によって違う。

戻したあとの重さも違います。同じ重さの乾いた巣を戻しても、戻りきったときの重さが同じにならない。ここも産地で分かれます。

産地によって測定値がどう分かれるのかは、同じ「燕の巣」でも、測ると値が違います。にまとめました。

では、戻し汁はどうするのか。

よく聞かれます。編集部は「飲んだほうがいい」とも「捨てたほうがいい」とも書きません。

水に溶ける成分が出ていることは、上のとおり測られています。しかし、それが何であるかを、この研究は特定していません。

中身の分からないものについて、飲むべきだとは書けません。捨てるべきだとも書けません。分かっているのは「出ている」というところまでです。

洗浄と、戻すことは、別の工程です。

ここは混ざりやすいところだと思います。

加工場でおこなわれる洗浄は、羽根や汚れを取り除くための工程です。インドネシアの養殖場44棟から集めた巣を調べた2022年の研究では、逆浸透水で約10秒という標準的な洗浄で、重金属の測定値が下がったと報告されています(Wahyuni DS ほか. Veterinary World. 2022;15(2):509-516.)。

家庭で数時間水に浸すのは、それとは目的が違います。汚れを落とすためではなく、固まった繊維をゆるめるためです。

工場の洗浄工程については、燕の巣は、洗ってあるのですか。に書きました。重金属や亜硝酸の数字は、洞窟の燕の巣は、本当に安全なのか。― 重金属と、亜硝酸のこと。にまとめてあります。

味は、ほとんどありません。

戻したあとの燕の巣には、味がほとんどありません。香りもごく淡い。

だから、何かを足せば、足したものの味になります。産地では氷砂糖を少し入れるだけ、というのが多いようです。凝った味付けをしない理由は、たぶんそこにあります。

WHAT WE DON’T KNOW YET

まだ分かっていないこと

  • 戻し汁に出ている成分が何であるか。上記の研究は「可溶性固形分の量」を測っていますが、中身を特定していません
  • 戻す時間の長さで、出ていく量がどう変わるのか。編集部は比較したデータを見つけられていません
  • 水温によって違うのかどうか。これも確認できていません
  • 日本で流通している製品について、同じ測定をしたデータ。見つけられていません

分からないことを、分かったことにはしない。

DISCLOSURE

この記事について

ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。同社は燕の巣を扱う事業者であり、中立な第三者ではありません。他社商品との比較や優劣の判定は行いません。研究の説明は、原著論文に書かれている範囲を超えないようにしています。記事のなかで商品を販売することはありません。戻す時間や量について、具体的な数値をおすすめすることはしません。

アイキャッチのイラストは、ツバメディア編集部が画像生成AIを使用して制作したものです。実在の場所や品物を撮影した写真ではありません。

SOURCES

  1. Chantakun K, Nilsuwan K, Sripradit A, Benjakul S. House and cave edible bird’s nest: Characteristics and quality of sterilised beverages containing the selected bird’s nest. International Journal of Food Science and Technology. 2022;57(4):2447-2458.
  2. Wahyuni DS, Latif H, Sudarwanto MB, Basri C, Thong D. An investigation of heavy metals in edible bird’s nest from Indonesia using inductively coupled plasma mass spectrometry. Veterinary World. 2022;15(2):509-516.

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