マレーシアには、バイオ関連の企業に対して国が与える「BioNexus ステータス」という認定があります。日本ではほとんど知られていませんが、現地では制度としてよく知られたものです。
この認定が実際に何を審査しているのか。授与する側にあたるBioeconomy Corporationで、プロジェクト開発・管理部(CEOオフィス)で部長を務めるモハメド・ファイザル・ヌール・バチャ氏(Mohamed Faizal Noor Batcha)にうかがいました。
財務省が授与し、別の機関が監査する
まず制度の形から。BioNexus ステータスはマレーシア財務省が授与し、その監査を Bioeconomy Corporation が担います。授与する主体と、実際に企業を見る主体が分かれている設計です。
Bioeconomy Corporation は財務省が全額出資し、科学技術革新省(MOSTI)の管轄にある機関です。
何を見ているのか
ファイザル氏が挙げた審査の観点は、次のようなものでした。
- 本当に研究を行っているか。その研究は検証されているか。
- 研究にどれだけ投資しているか。
- 研究チームの体制はどうか。
- それをどう事業化しているか。
- 誰と組んでいるか。
最後の「誰と組んでいるか」が審査項目に入っているのは、日本の感覚では少し珍しいかもしれません。
約650社
FACT
BioNexus ステータスおよび BBA の認定を受けている企業は、約650社である(2025年時点)。
出典:Bioeconomy Corporation 公式発表「20 Years of Bioeconomy Corporation Contribute RM39.9 Billion to Malaysia’s GDP」
注意していただきたいのは、マレーシアのバイオ関連企業がおよそ51,800社あるという別の数字と、これは違うということです。51,800社は業界全体の企業数、650社は認定企業の数です。ここを混ぜると、制度の意味が変わってしまいます。
「biomining」という言葉
ファイザル氏の説明のなかで、耳に残った言葉があります。
燕の巣を扱う企業には大きく三つの型がある。野生の巣を集めて一次加工して売る事業者。契約農家から買い付ける事業者。そして自社でバードハウスを持ち、生物学的な繁殖から手がける事業者。
三つ目のなかでも、原料から特定の成分を取り出して価値の高い製品に変えることを、氏は「biomining(生物採掘)」と呼びました。
制度と事業者の関係
この記事では、特定の企業の評価には踏み込みません。制度が何を見ているのかを書くことが目的です。
ただ一点だけ、ファイザル氏が語ったことを書き添えます。BioNexus ステータスには税制上の優遇が伴いますが、GLYKENの創業者 エリック氏は研究の実証が済むまで、その優遇を受け取ることを断り続けたといいます。
WHAT WE DON’T KNOW YET
まだ分かっていないこと
- 企業数(約650社/約51,800社)は公式発表にもとづく数字ですが、集計時点と定義が異なる可能性があります。
- 認定は取得時点の審査によるものであり、その後の品質を継続的に保証するものではありません。
この記事について
ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。同社は燕の巣を扱う事業者であり、中立な第三者ではありません。同社はマレーシアのGLYKEN社のツバメの巣を原料とする製品を日本で販売しており、記事内で紹介した機関とも関係があります。本記事で言及した企業と、日本伴照株式会社は取引関係にあります。記事のなかで商品を販売することはありません。研究の説明は、原著論文に書かれている範囲を超えないようにしています。
SOURCES
- モハメド・ファイザル・ヌール・バチャ氏(Mohamed Faizal Noor Batcha/Head of Department, Project Development and Management, Office of the CEO, Malaysian Bioeconomy Development Corporation)への取材。掲載許諾取得済。氏名・役職・部署はご本人が2026年8月31日に確認。
- Bioeconomy Corporation「20 Years of Bioeconomy Corporation Contribute RM39.9 Billion to Malaysia’s GDP」公式発表。
- Bioeconomy Corporation 公式サイト(2026年8月30日閲覧)。
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