燕の巣について「体にいい」と語られることは多いのですが、では実際に何がどこまで確かめられているのか。そこを知りたくて、マレーシア国民大学の研究チームに会いに行きました。
お話をうかがったのは、サラム・バブジ教授と、リム・センジョー准教授です。
15年前の、素朴な問いから
研究のきっかけは、意外なほど単純な疑問だったといいます。
「なぜ、中国の人たちだけがこれを飲むのか」
東南アジアで採れるのに、消費のほとんどが中華圏に集中している。そこに何かあるのではないか。そこから15年が経ちました。
いま公表されている研究のこと
ツバメディアでは、査読を通った論文だけを「研究の記録」として掲載しています。現時点で3本です。
そのうち1本は、変形性膝関節症の手術で取り出されたヒトの軟骨細胞を培養し、ツバメの巣の抽出物を加えた試験管内の実験です。もう1本は、マレーシア6地域7検体の成分と安全性を調べたもの。3本目は、これまでの研究を整理した総説です。
FACT
総説の著者らは「科学的な特性や生理活性は研究されているが、実際の組成やメカニズムには光が当てられていない」と、自ら限界を明記している。
出典:Lee TH ほか. Frontiers in Pharmacology. 2021;12:626233.
研究者自身がそう書いている。この一文は、私たちがこの素材について語るときの、いちばん正直な出発点だと考えています。
進行中の試験について
取材時点で、動物を用いた試験が進められていました。ただし、結果がまとまり、査読を経て公表されるまで、私たちはその内容を書きません。
試験管のなかと、人の体は違う
研究の記事でいちばん誤解が生まれやすいのが、ここです。
培養した細胞に何かを加えて変化が見られたことと、人がそれを食べて何かが起きることは、まったく別の話です。あいだには動物試験があり、人での臨床試験があり、そのどこで止まってもおかしくない。
ですからツバメディアでは、すべての研究紹介に「この研究が言っていること/言っていないこと」の対照表を置いています。
WHAT WE DON’T KNOW YET
まだ分かっていないこと
- ツバメの巣の実際の組成と、その作用の仕組みは、まだ解明されていません(前掲の総説による)。
- 公表されている研究の多くは試験管内または動物での報告であり、人での効果を示したものではありません。
- 取材時点で進行していた動物試験は、査読を通った論文として公表されるまで内容を扱いません。
- 研究に使われた抽出物と、市販されている製品が同じものであるという保証はありません。
この記事について
ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。同社は燕の巣を扱う事業者であり、中立な第三者ではありません。記事内で紹介した機関とも関係があります。他社商品との比較や優劣の判定は行いません。研究の説明は、原著論文に書かれている範囲を超えないようにしています。日本伴照株式会社は、この分野の研究に関与する立場にあります。そのうえで、原著に書かれていないことは書かない、という方針をとっています。記事のなかで商品を販売することはありません。研究の説明は、原著論文に書かれている範囲を超えないようにしています。
SOURCES
- サラム・バブジ教授、リム・センジョー准教授(マレーシア国民大学)への取材。2026年3月14日、クアラルンプール。掲載許諾取得済。
- Lee TH ほか. Edible Bird’s Nest: The Functional Values of the Prized Animal-Based Bioproduct From Southeast Asia — A Review. Frontiers in Pharmacology. 2021;12:626233.
- Chua KH ほか. BMC Complementary and Alternative Medicine. 2013;13:19.
- Tan SN ほか. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2020;2020:8068797.
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