ORIGIN
この記事の出どころ
この記事は、2025年6月9日に配信したメールマガジンをもとに、ツバメディア編集部が再構成したものです。公開日は配信日に合わせています。
この回については、出どころをもう少し詳しく書いておきます。ここに書かれている出来事は、2025年6月4日のことです。時 昴は出張直後の2025年6月9日にこの話を配信し、その約10か月後、2026年4月30日に「ちょうど一年前を回想しながら」と前置きして、同じ話をあらためて配信しています。ツバメディアは、連載の時系列が読者に伝わるように、公開日を最初の配信日に合わせています。
メールマガジンにあった挨拶、告知、書籍やSNSの紹介、商品の案内、および取引先の個人名は落としてあります。そして、当時の私の理解が、いまの編集部の理解と食い違っている箇所には、編集部注を入れました。直さずに残し、あとから注を付ける形にしています。
この日は、工場へ行きました。
その前に朝食です。ロードサイドにパラソルを立てて売っている、バナナの唐揚げ。
え、バナナの、唐揚げ? と思われた方。ほんとに、びっくりしますから。めちゃくちゃ美味しいんです。
そしてオフィスに着くと、コーヒーを淹れてくださる。そのコーヒーに、燕の巣が入っています。
次の瞬間には、燕の巣のスープ。
あ、そうか。私は今日、楊貴妃なんだ。そう確信しました。(実際に楊貴妃が燕の巣を食べていたのかは、編集部が別の記事で調べています。結論は、なかなか複雑でした。)
掃除に始まり、掃除に終わる。
工場は、想像以上でした。
いちばん驚いたのは動線の設計です。人は極力移動しない。エリアごとに人の出入りがない。人の流れと、原料の流れが、完全に別になっている。
そして、掃除に始まり、掃除に終わる。
食品工場という言葉で想像していたものとは、だいぶ違いました。
目を奪われたのは、羽を取る工程でした。
巣のなかに入り込んだ、小さな小さな羽。私の肉眼では、到底見えないレベルです。
それを、1本、1本、1本。
ピンセットで、手作業で抜いていく。
しかも、水に漬けません。乾いた環境のまま、地道に、集中して取っていく。
この工程を見て、私は「ツバメの巣が高い理由」を、肌で理解しました。
EDITORIAL NOTE
編集部注
水にさらす工程には、ヒ素・鉛・カドミウム・スズを有意に減らすという報告があります。一方で、硝酸イオンのように、洗っても産地の差が残る成分もあります。
つまり「洗うと成分が流れる、だから洗わないほうがよい」と単純には言えません。加工方法は工場によってまったく違い、それぞれに意味があります。
詳しくはこちらに書きました。→ 燕の巣は、洗ってあるのですか。
「落ち着いて聞いてくれ。今日の店に、ビールがないんだ。」
午後のセミナーのあと、エリックさんが神妙な面持ちで言いました。
「落ち着いて聞いてくれ。今日の晩御飯のお店に、ビールがないんだ。」
エリックさんは無類のビール好きです。というより、一緒に飲むのが好きな人です。
最後の夜なのにビールがなくて申し訳ない、と。かわいらしい一面です。
「ただ、味は保証する」ということで、インド料理の晩餐へ。
目が燃えました。
私にとって、エリックさんとの食事の時間は、人生の勉強の時間です。
この日も、初日からのいろいろな話を聞いていたら、なんだか泣けてきました。
思わず目を擦ったら、指にスパイスが付いていました。
目が、燃えるように熱くなりました。
それを見たエリックさんは、正直、引いていたと思います。「こいつ、なんでこんな泣いてんねん」と。
「販売は、人の中で始まる仕事だ。」
その席で、エリックさんが言った言葉が忘れられません。
エリック「研究と製造は、自分の中で終わる仕事。でも販売は、人の中で始まる仕事。販売者は、目の前の人の命を背負っているんだよ。」
売って終わりじゃない。売って始まる。
この言葉を聞いたとき、私の中の何かが静かに変わったのを感じました。
もうひとつ、この日に聞いた言葉。
「私たちは、売れる商品を作っているんじゃない。届く命を作っているんです。」
「明日、政府機関に行ってきなさい。」
もう十分に満足して、帰ってもいいくらいでした。ところが、それでは帰らせないと。
エリックさんがサプライズで用意してくれたのが、翌日、クアラルンプールの政府機関2か所を訪ねて勉強してこい、という予定でした。
日本でいえば「明日、経産省の方とアポ取ったから勉強してきなさい」みたいな話です。
思考の枠組みを、毎回取っ払ってくださるお方です。
DISCLOSURE
このコラムについて
ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。私はその代表取締役であり、リアン株式会社の代表も務めています。2026年9月1日より、株式会社キュアレの代表にも就任しました。中立な第三者ではありません。
このコラムは、客観報道の記事として書いていません。一人称の見聞きとして書き、事実として確かめたことは編集部の記事に分けています。そして、自分が過去に間違えて書いたことは、注を付けて残します。
この記事に登場するGLYKEN社は、当社の取引先です。工場の見学も、先方のご案内によるものです。
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