燕の巣が生まれる場所を、この目で見に行く。そのはずが、まず飛行機が飛びませんでした。

9月12日。ツバメディアの取材で、マレーシアへ向かいました。行き先はジョホールバル。アナツバメが実際に暮らしている建物——バードハウスを訪ねるためです。
商品になった燕の巣なら、これまでいくらでも見てきました。けれど、その手前にある場所を、私はまだ十分に見ていません。どんな環境で、どんな鳥が、どうやって巣をつくるのか。そこを自分の目で見ておきたい。それが今回の目的でした。
……のはずが、まずマレーシアにたどり着けませんでした。

2班に分かれて、ジョホールバルへ
今回は2班での移動でした。1班は羽田からシンガポールを経由してジョホールバルへ。以前から燕の巣に関心を持ってくださっている方々で、オンラインで情報を届けている方が中心です。「もっと知りたい」「自分で見たうえで伝えたい」。そういう動機で来てくださいました。
もう1班が、私たちです。関西国際空港からクアラルンプールを経由してジョホールバルへ。ツバメディア編集部もこちらでした。
予定していたのは、関西を11時05分に出る便。荷物を預けて、あとは乗るだけ。そのはずでした。

11時05分、飛ばない
機材トラブルでした。
ただ、すぐに「本日は欠航です」と決まったわけではありません。待つ。まだ待つ。とりあえず待つ。時間だけが過ぎていきます。
13時ごろ、ミールクーポンが配られました。これは長くなるな、と思いました。それでもご飯を食べて、話をして、まだどこかで「そのうち飛ぶだろう」と思っていました。
はっきりしたのは15時過ぎです。この便では、今日は行けない。振替として示されたのは、翌日の17時でした。
翌日の夕方に日本を出る。それでは、現地で組んでいた取材の予定はほぼ成立しません。
変えられないものと、変えられるもの
ここで考えたのは、ひとつだけでした。いま、自分たちにできることは何か。
飛ばない飛行機を、私たちは飛ばせません。カウンターで声を荒げても、飛びません。変えられないものに時間を使っている余裕は、もうありませんでした。
すぐに別の経路を探しました。シンガポール経由はどうか。香港は。台北は。クアラルンプールまで行ければ、翌朝の国内線でジョホールバルに入れる。
見つかったのが、その日の夜に関西を出て、台北を経由してクアラルンプールへ向かう便でした。そこから翌朝、国内線でジョホールバルのスナイ空港へ。到着は予定より12時間ほど遅れますが、取材の初日には間に合う。
分かった瞬間に、切り替えました。あとから振り返って思うのは、あの15分か20分の差だったな、ということです。もう少し待ってみようか、と粘っていたら、その便にも乗れていなかったかもしれません。
現地では、私たちのために時間を空けてくださっている方がいます。日本からわざわざ来てくださった方もいます。判断が遅れるというのは、自分の時間だけでなく、その人たちの時間まで使ってしまうということでした。
「普通」は、国境を越えない
もうひとつ、考えさせられたことがあります。
私の感覚では、機材トラブルが起きたなら、その時点で「機材トラブルです」と伝えてほしい。復旧の見込みはどうか、飛ぶ可能性はどのくらいか、代わりの案は何か。日本で暮らしていると、そうした情報が比較的早く、細かく共有されることに慣れています。
でもそれは、私の「普通」であって、世界の「普通」ではありません。
これは、どこかの会社の良し悪しの話ではないと思っています。時間の感覚。約束の考え方。情報を出すタイミング。国が変われば、その背景にある前提が変わります。「なぜ日本と同じようにやってくれないのか」と考えるより、「相手にとっての普通は何だろう」と考えるほうが、たぶん前に進みます。
海外と仕事をするというのは、結局その積み重ねなのだと、あらためて思いました。そしてこれは、国の話だけでもありません。会社でも、家でも、自分の普通と相手の普通は違います。
そして、翌朝
台北を経由して、深夜にクアラルンプール。翌朝また飛行機に乗って、ジョホールバルへ。ほとんど寝ていません。
それでもスナイ空港に降りたときは、来られた、と思いました。
ここからが本番です。向かったのは、ツバメたちが暮らすバードハウス。扉を開けた先で見たものについては、後編に書きます。
DISCLOSURE
このコラムについて
ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。私はその代表取締役であり、リアン株式会社の代表も務めています。2026年9月1日より、株式会社キュアレの代表にも就任しました。中立な第三者ではありません。このコラムに登場するGLYKEN社は、当社の取引先です。
だからこそ、このコラムは「取材記事」としては書きません。一人称の見聞きとして書き、事実として確かめたことは編集部の記事に分けています。他社商品との比較や優劣の判定も行いません。
掲載にあたっては、ご本人から許諾をいただいています。
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