ORIGIN
この記事の出どころ
この記事は、2025年12月20日に配信したメールマガジンをもとに、ツバメディア編集部が再構成したものです。公開日は配信日に合わせています。
メールマガジンにあった挨拶、告知、書籍やSNSの紹介、商品の案内、および取引先の個人名は落としてあります。そして、当時の私の理解が、いまの編集部の理解と食い違っている箇所には、編集部注を入れました。直さずに残し、あとから注を付ける形にしています。
マレーシア国民大学(UKM)を訪問しました。マレーシアを代表する国立大学のひとつです。
政治・行政・研究・産業の中枢を担う人材を、長年にわたって輩出してきた大学だと聞きました。訪問したときにも、私より10歳ほど下の女性の研究者が「いまは研究の仕事をしていますが、先々は政治家を志しています」と話していて、感服しました。
「今は、ツバメのための建築をつくってるよ。」
この日、エリックさんが少し笑いながら、こんな話をしてくれました。
「大学では、人のための建築を学びました。社会に出てからは、不動産デベロッパーとして人のための建築をつくり、人の暮らしに貢献してきました。そして今は、ツバメのための建築をつくってるよ。笑」
この部分だけを切り取れば、軽い冗談のようにも聞こえます。
でも、これまで聞いてきた話を重ね合わせると、私にはもう、泣けるほどの話でした。
彼がいつも言うのは、「安心できること」です。
エリックさんの説明を、聞いたままに書きます。
「ツバメにとって本当に良い環境をつくるには、まず安心できることが大事。外敵が近づきにくいように周囲の木の高さを調整したり、燕が好む昆虫を研究して、その昆虫が自然と集まる環境をつくったり。」
「燕がストレスなく、安心して子育てができて、本来の力で巣をつくれる環境を整える。そうすれば、自然と良い巣が生まれるんだよ。」
この話を以前から聞いていたので、さっきの冗談を聞いたときに、私はハッとしたわけです。
バードハウスでも、バードホテルでもない。
私は前に、バードハウスをバードホテルと呼びたいと書きました。
でも、それも違ったのかもしれません。
彼がやっているのは、家をつくることでも、ホテルをつくることでもない。
バードシティを設計している。
生きものが、最も健やかに生きられる環境そのものを設計すること。燕の巣を「生産」するという話ではないんです。
対象は変わっても、「誰かのために、最適な環境を設計する」という軸は、何ひとつ揺らいでいない。人のために建築を学び、人のために建築をつくり、そして今は、生きものが自然に生きられる環境を設計している。
だから「天然か、養殖か」では、話が届かない。
よく耳にする「天然か、養殖か」「本物か、偽物か」という比較。
その枠では、エリックさんがやっていることを説明できません。バードハウスかバードホテルかという話ですらなく、そもそも都市を設計している人の話だからです。
この二元論をツバメディアが採らない理由は、編集部の記事にも書いています。→ バードハウスの燕の巣は「養殖」なのか。
EDITORIAL NOTE
編集部注
この回について、3点おことわりします。
①「安心できる環境をつくれば良い巣が生まれる」も、ご本人の説明です。環境と巣の品質の関係を測った研究は、編集部でも一部確認していますが(硝酸イオンの産地差など)、この説明全体を裏づける査読研究は確認できていません。
② 原文では、この思想を「簡単には真似できない決定的な違い」と書いていました。この表現は外しました。他社との優劣を書かないというのが、ツバメディアの方針です。また、この仕事が人の健康に役立つという趣旨の記述も外しています。
DISCLOSURE
このコラムについて
ツバメディアは、日本伴照株式会社が運営しています。私はその代表取締役であり、リアン株式会社の代表も務めています。2026年9月1日より、株式会社キュアレの代表にも就任しました。中立な第三者ではありません。
このコラムは、客観報道の記事として書いていません。一人称の見聞きとして書き、事実として確かめたことは編集部の記事に分けています。そして、自分が過去に間違えて書いたことは、注を付けて残します。
この記事に登場するGLYKEN社は、当社の取引先です。
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